訪問マッサージでご相談の多い疾患・身体状態|脳卒中後遺症・パーキンソン病など

訪問マッサージを検討されている方やご家族から、

  • 脳梗塞の後遺症でも訪問マッサージを利用できますか?
  • パーキンソン病でも対象になりますか?
  • どのような病気の方が利用されているのでしょうか?

といったご質問をいただくことがあります。

 

訪問マッサージを利用されている方には、脳卒中後遺症やパーキンソン病などの神経疾患をはじめ、骨折後や整形外科疾患など、さまざまな疾患をお持ちの方がいらっしゃいます。

 

 

ただし、健康保険を使った訪問マッサージは、

 

「○○という病気だから利用できる」

 

というように、病名だけで決まるものではありません。

 

筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮などがあり、医療上マッサージが必要と認められることなどが重要になります。

健康保険を利用する場合には、医師の同意も必要です。

 

そこで本記事では、

  • 訪問マッサージをご利用の方にみられる主な疾患
  • 疾患に伴ってみられやすい身体状態
  • 訪問マッサージではどのようなことを行うのか
  • 健康保険を利用する際の考え方

についてご紹介します。

 

 

主な疾患・状態

 

訪問マッサージをご利用される方の疾患はさまざまです。

 

なかでも、アットリハ広島では脳卒中後遺症やパーキンソン病をはじめ、神経疾患や整形外科疾患などにより、身体を動かしにくくなった方からご相談をいただくことがあります。

 

ここでは代表的な疾患・状態をご紹介します。

 

脳血管障害・脳卒中後遺症

 

脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳の機能が障害される病気の総称です。

 

代表的なものとして、

  • 脳梗塞
  • 脳出血
  • くも膜下出血

などがあります。

 

脳卒中の後には、障害された脳の部位や程度によってさまざまな症状が残ることがあります。

 

たとえば、

  • 片側の手足が動かしにくい
  • 手足に力が入りにくい
  • 麻痺側の関節が動かしにくい
  • 筋肉がこわばる
  • 歩きにくい
  • バランスを崩しやすい
  • 日常生活動作に介助が必要

などです。

 

脳梗塞では、手足の運動麻痺や感覚障害、言葉の障害などが生じることがあります。

 

退院後も麻痺側をかばって生活していると、動かす機会の少ない部分が硬くなったり、反対側の身体に負担がかかったりすることもあります。

 

訪問マッサージでは、病気そのものを治療するというよりも、

脳卒中後遺症に伴う筋麻痺・筋緊張・関節拘縮など、その方に生じている身体状態を確認しながら施術を行います。

 

なお、今までになかった手足の麻痺やろれつの回りにくさなどが突然出現した場合は、「後遺症」と考えず、脳卒中の急性発症も考えて速やかな医療機関への受診が必要です。

 

 

パーキンソン病

 

パーキンソン病は、身体の動きに影響を及ぼす神経疾患のひとつです。

 

代表的な運動症状として、

  • 動作がゆっくりになる
  • 筋肉がこわばる
  • 手足が震える
  • 姿勢を保ちにくくなる

などがあります。

 

病状や症状には個人差がありますが、

  • 身体が硬くなって動き始めにくい
  • 以前より歩くのが大変になった
  • 転ぶことが心配で、あまり動かなくなった
  • 外出する機会が減った

といったお悩みにつながることがあります。

 

身体を動かす機会が少なくなると、疾患そのものによる症状に加えて、活動量低下による筋力低下や関節の動かしにくさが加わる場合もあります。

 

訪問マッサージでは、その日の体調や身体の状態を確認しながら、無理のない範囲で施術を行っていきます。

 

 

脊髄小脳変性症・多系統萎縮症

 

脊髄小脳変性症は、主に小脳やその関連する神経系が障害され、身体の動きを調整することが難しくなる神経疾患の総称です。

 

多系統萎縮症では、小脳性の運動失調、パーキンソン症状、自律神経障害などがみられることがあります。

 

たとえば、

  • 歩行時にふらつく
  • バランスを取りにくい
  • 手足を思うように動かしにくい
  • 動作に時間がかかる
  • 活動量が低下してきた

といった状態につながることがあります。

 

進行性の神経疾患では、病気そのものに対する医療機関での治療・管理が非常に重要です。

 

そのうえで、日常生活のなかで生じている身体のこわばりや関節の動かしにくさなどに対し、訪問による継続的な身体ケアが検討されることがあります。

 

 

ALSなどの神経・筋疾患

 

ALS(筋萎縮性側索硬化症)をはじめ、神経や筋肉に関係する疾患では、筋力低下や筋萎縮などによって身体を動かすことが難しくなる場合があります。

 

神経疾患にはALSのほか、

  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • 末梢神経障害
  • 筋疾患

など、さまざまな病気があります。

 

日本神経学会でも、これらは脳神経内科で扱われる主要な疾患として分類されています。

 

疾患によって症状や経過、注意すべき点は大きく異なります。

 

そのため、病名だけを見て一律に同じ施術を行うことはありません。

 

主治医からの情報や医師の同意内容、その日の全身状態などを踏まえながら、身体への負担に配慮して施術を行うことが重要です。

 

 

骨折後・整形外科疾患

 

訪問マッサージをご利用されるのは、神経疾患の方だけではありません。

 

たとえば、

  • 大腿骨近位部骨折などの骨折後
  • 変形性膝関節症
  • 変形性股関節症
  • 脊椎疾患
  • 長期間の入院後

などをきっかけに、以前より身体を動かしにくくなった方からご相談いただくこともあります。

 

骨折や手術などをきっかけに活動量が低下すると、

  • 退院したものの、以前より歩くのが大変になった
  • 長く座っていることが増えた
  • 膝や股関節が動かしにくくなった

といった状態がみられることがあります。

 

このような場合も、疾患名だけではなく、現在どのような身体状態にあるのかを確認することが大切です。

 

 

訪問マッサージをご検討いただける主な身体状態

 

健康保険を使った訪問マッサージでは、

 

「何の病気なのか」と同時に、「現在どのような身体状態なのか」

 

が大切になります。

 

厚生労働省では、あん摩マッサージ指圧の療養費について、診断名によって一律に決まるものではなく、筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮等があり、医療上マッサージを必要とする症例が対象になるとしています。

 

代表的な身体状態を見ていきます。

 

麻痺・筋力低下がある方

 

脳卒中後遺症などでは、片側の手足が動かしにくくなる片麻痺が残る場合があります。

 

また、

  • 神経疾患
  • 長期間の安静
  • 入院
  • 活動量の低下

などによって筋力が低下し、立ち上がりや歩行が以前より難しくなる方もいらっしゃいます。

 

身体を動かすこと自体が大きな負担となると、外出の機会も少なくなりがちです。

 

そのような方に対し、ご自宅や施設へ訪問して身体状態を確認しながら施術を行うのが訪問マッサージです。

 

 

関節拘縮・関節が動かしにくい方

 

関節拘縮とは、関節の動く範囲が狭くなり、手足などを十分に動かしにくくなった状態です。

 

たとえば、

  • 肩が上がりにくい
  • 肘が伸びにくい
  • 手指が開きにくい
  • 膝が伸びにくい
  • 足首が動かしにくい

などがあります。

 

麻痺がある方や寝ている時間が長い方では、身体を動かす機会が減ることで関節の動かしにくさが目立ってくる場合があります。

 

関節拘縮は、着替え・清拭・移乗などの日常生活や介助にも影響することがあります。

 

そのため、現在の関節の動きや痛み、筋肉の緊張などを確認しながら対応していきます。

 

 

寝たきり・活動量が低下している方

 

病気や骨折、入院などをきっかけに、

  • ほとんどベッドで過ごしている
  • 以前は歩いていたけれど、最近はほとんど歩かなくなった

という方もいらっしゃいます。

 

身体を動かす機会が少ない状態が続くと、筋力や体力が低下し、さらに身体を動かすことが大変になることがあります。

 

無理に運動量を増やすのではなく、その方の体力や病状に合わせた身体ケアを継続していくことが重要です。

 

 

歩行や日常動作が難しくなっている方

 

訪問マッサージをご利用される方には、

  • 一人では外出が難しい
  • 杖や歩行器を使用している
  • 車いすを使用している
  • 家族の介助がなければ外出できない
  • 通院そのものが大きな負担になっている

といった方も多くいらっしゃいます。

 

病院や施術所へ通うことが困難な場合、ご自宅や施設で施術を受けられることは、訪問サービスの大きな特徴です。

 

 

訪問マッサージではどのようなことを行うの?

 

アットリハ広島では、疾患名だけを見るのではなく、

現在の身体状態や生活上のお困りごとを確認しながら施術内容を考えます。

 

同じ「脳梗塞後遺症」であっても、

  • 麻痺の程度
  • 関節の動き
  • 筋肉の緊張
  • 痛みの有無
  • 座っていられる時間
  • 歩行能力
  • 日常生活の状況

などは一人ひとり異なります。

 

そのため、施術内容も同じではありません。

 

身体状態に合わせたマッサージ

 

硬くなっている筋肉や負担がかかっている部位などを確認し、その日の体調に合わせてマッサージを行います。

 

強い刺激を一律に加えるのではなく、高齢の方や神経疾患をお持ちの方では、全身状態を確認しながら無理のない強さで施術することが大切です。

 

  • 麻痺している側だけを見る
  • 痛い場所だけを揉む

というのではなく、姿勢や反対側の身体への負担なども含めて確認していきます。

 

 

関節の動きを確認しながら施術

 

関節が動かしにくい方では、関節の可動範囲や痛みなどを確認します。

 

必要に応じて、身体に無理のない範囲でストレッチや関節運動などを取り入れることもあります。

 

特に麻痺や長期間の活動量低下がある方では、身体の状態を継続して確認していくことが重要です。

 

 

その日の体調に合わせて内容を調整

 

神経疾患や慢性疾患をお持ちの方では、

  • 今日は身体が動かしやすい
  • 今日はいつもより疲れている

など、日によって状態が異なることがあります。

 

そのため、

「毎回必ず同じ内容を行う」

のではなく、体調や身体状態を確認しながら施術内容を調整します。

 

必要に応じて、ご家族やケアマネジャーなどと情報を共有しながら、継続して身体の状態をみていきます。

 

 

健康保険を利用した訪問マッサージについて

 

 

ここは特に誤解されやすいところです。

 

健康保険を使った訪問マッサージは、

  • 脳卒中だから保険が使える
  • パーキンソン病だから保険が使える

という制度ではありません。

 

厚生労働省では、マッサージの療養費について、

 

筋麻痺や関節拘縮等があり、医療上マッサージを必要とする症例

 

が対象になるとしています。

 

また、健康保険を利用してマッサージを受けるためには、医師の同意書または診断書が必要です。

 

つまり、

 

病名+現在の身体状態+医療上の必要性

 

を個別に確認する必要があります。

 

疾患名だけで判断しないことが大切です

 

たとえば、

 

「脳梗塞後遺症だから必ず健康保険が使える」

 

というわけではありません。

 

反対に、

 

「有名な対象疾患の名前がついていないから利用できない」

 

とも限りません。

 

現在、

  • 筋麻痺がある
  • 筋肉が萎縮している
  • 関節拘縮がある
  • その他、医療上マッサージが必要な状態がある

といったことを確認したうえで判断されます。

 

「自分の場合は対象になるのだろうか?」

 

と迷われる場合は、病名だけで自己判断せず、一度ご相談ください。

 

 

よくあるご質問

 

脳梗塞の後遺症でも訪問マッサージを利用できますか?

 

脳梗塞後遺症のある方が訪問マッサージを利用されるケースはあります。

ただし、健康保険を利用できるかどうかは「脳梗塞」という病名だけでは決まりません。

片麻痺や筋萎縮、関節拘縮など現在の身体状態や、医療上マッサージが必要かどうかなどを確認する必要があります。

また、健康保険を利用する場合には医師の同意が必要です。

 

パーキンソン病でも利用できますか?

 

パーキンソン病の方が訪問マッサージを利用されるケースもあります。

パーキンソン病では筋固縮や動作のしにくさなどがみられることがありますが、健康保険の利用については病名だけで判断するものではありません。

現在の身体状態や通院状況などを確認したうえで、個別に検討します。

 

麻痺がなくても利用できますか?

 

健康保険を使ったマッサージは、麻痺のある方だけに限定された制度ではありません。

筋萎縮や関節拘縮等があり、医療上マッサージが必要と判断される場合なども対象となる可能性があります。

そのため、

「麻痺がないから絶対に利用できない」

と自己判断する必要はありません。

まずは現在の身体状態を確認することが大切です。

 

介護保険の訪問リハビリやデイサービスを利用していても大丈夫ですか?

 

訪問マッサージの療養費は、介護保険とは別の医療保険の仕組みです。

そのため、訪問リハビリやデイサービスなどの介護保険サービスを利用されている方が、訪問マッサージを利用しているケースもあります。

ただし、それぞれのサービスには目的や制度上の取扱いがあります。

現在利用しているサービスや身体状態を確認したうえで、必要に応じてケアマネジャーなどとも情報を共有しながら検討していきます。

 

医師の同意書はどのように取得しますか?

 

健康保険を使って訪問マッサージを受ける場合には、医師の同意が必要です。

同意書には傷病名だけではなく、筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮などの症状や施術部位などを記載する欄があります。

具体的な手続きについて分からない場合は、ご相談いただければ流れをご説明いたします。

 

 

病名だけではなく「現在の身体状態」を確認することが大切です

 

訪問マッサージを利用されている方には、

  • 脳梗塞・脳出血などの脳卒中後遺症
  • パーキンソン病
  • 脊髄小脳変性症
  • 多系統萎縮症
  • ALSなどの神経・筋疾患
  • 骨折後
  • 整形外科疾患

など、さまざまな疾患をお持ちの方がいらっしゃいます。

 

しかし、訪問マッサージで大切なのは、

「病名だけを見る」のではなく、その病気によって現在どのような身体状態になっているのかを見ることです。

 

たとえば、

  • 麻痺がある
  • 筋力が低下している
  • 身体がこわばっている
  • 関節が動かしにくい
  • 歩くことが難しくなっている
  • 一人での外出が難しい
  • 寝て過ごす時間が増えている

など、お困りになっている内容は一人ひとり違います。

 

アットリハ広島では、疾患名だけで判断するのではなく、現在の身体状態や生活状況を確認しながら、訪問マッサージをご利用いただけるかどうかをご案内しています。

 

「自分や家族が対象になるか分からない」

 

という段階でも構いません。

 

現在のお身体の状態について、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

訪問マッサージを利用できるか簡単にチェック

 

以下に当てはまる方は、医療保険を使った訪問マッサージの対象となる可能性があります。

  • 麻痺や筋力低下があり、身体を動かしにくい
  • 関節が固くなり、動かしにくくなっている
  • 人での外出や通院が難しい
  • 付き添いや介助がなければ外出が難しい
  • 杖・歩行器・車いすなどを使用している

 

健康保険の適用は病名だけで決まるものではなく、筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮などの身体状態や、医療上マッサージが必要かどうかをもとに判断されます。

 

また、訪問による施術には、歩行困難などにより施術所へ通うことが難しいことなどの条件があります。

 

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。健康保険の適用や施術の可否は、個々の身体状態、医師の診察・同意、保険者による取扱い等によって異なる場合があります。
 
この記事を書いた人
河野 功
理学療法士/あん摩マッサージ指圧師
アットリハ広島 施術管理者
病院・外来・通所リハ・訪問リハ等の臨床経験を経て、訪問マッサージ事業を運営。
詳しいプロフィール